僕の友人の伝統工芸職人のお話

マインド

僕の友人の伝統工芸職人のお話

僕の高校時代からの友人に、伝統工芸職人の男がいます。

彼が作っているのは鉄器で、その地域独特の鋳造方法の鉄を用いて、鉄瓶(お湯を沸かす道具)や花瓶を作っています。

彼の働いているのは、伝統工芸を作る工房と、それを売る商店が一緒になっている商業施設のようなところで、伝統工芸に興味のある人や日本国外からの観光客が主な客層です。

僕と彼は10年来の付き合いということもあり、よく遊びに行ったり飲みに行ったりするのですが、彼がすごく興味深いお話をしていたので、このブログを読んでくれている皆さんにも共有したいと思います!

あるお客さんとのやり取り

彼は伝統工芸職人のため、ひたすら物を作るのが仕事です。

彼の工房が作成したものを売るのは、また違う人たち(物販担当や工房の売店の人たち)の仕事になります。

彼は接客はしないということですね。

そのため、彼は作業中、工房の窓を締め外部との接触を一切絶った状態で制作に取り組むのですが、中には作業中の職人を呼ぶため、窓をコンコンと叩くお客さんがいるそうです。

…もちろん彼は作業中ですし、そもそも人嫌いな男でもあるので、いい気はしません。そもそも、この窓は換気のためのものであり、お客さんが職人を呼び止めるためのものではありません。(注意書きもわかりやすく書いてる)

それに、こういった形でコンタクトを取ろうとするお客さんは、総じて質の悪い人が多いようで、難癖をつけられることも多いようです。

しかしながら、窓を叩く音は止むこともなく、あまりにもしつこいので対応してしまったそうです。


彼「どうしましたか?」

客「この鉄瓶たちってなんでこんな高いの?湯を沸かすだけのものでしょ?」

 

彼「僕らみたいな職人が一つ一つ手作りしているからです。大量生産されている鉄瓶であれば〇〇で買えますよ。」

客「いやいや!いくら手作りだからって、こんなに高いのはおかしいでしょ!材料の鉄だって、たかだか〇〇円くらいでしょ?」

彼「値段の理由が知りたいのであれば、設備を貸すのでご自分で作ってみてください。」

客「いや、それはちょっと…」

彼「それと湯を沸かしたいだけなら、百円均一でヤカンを買ってください。確かに鉄器は湯を沸かすものですが、それ以上の価値を見い出せない人の手には渡ってほしくありません。」

客「すみません。お邪魔しました…」


こうしたやり取りの後、このお客さんはすごすごと帰っていったそうです。

彼の対応は接客の面では0点かもしれませんが、職人としては100点の対応です。

伝統工芸品というのは、彼のような職人が一つ一つ丹精込めて制作しているため、鉄瓶や花瓶のような単純な用途のものでも、それなりの値段がつくものですからね。

彼の言葉に隠れている意味

この一連のやり取りは、「難癖をつける嫌な客を追い返した話」に聞こえますが、実はどんなビジネスにも通用するマインドが隠されています。

このお客さんは、ある一側面に囚われ思考が止まっている状態だったと言えます。

伝統工芸品を取り扱う場所に来ながら鉄瓶の「値段が高い」という側面しか見ておらず、それ以上その思考を前に進めようとしなかったのです。

ここで「値段が高いからには、それなりの理由があるのではないか?」と思考を前に進めることができたらどうでしょうか?

彼のように汗まみれになって制作に取り組んでいる姿が、鉄瓶に価値を付与していることに気づけたのではないかと思いますし、職人に難癖をつけ、あげく敗北感を覚えることもなかったはずです。

プライベートの時間でも思考を前に…とか考える必要ある??と思われるかもしれませんが、これは一種のクセのようなもので、思考を常に前進させられる人は常に物事の核や本質を見極められるため、無駄な問答や野暮な質問はしません。

また、職人である彼の「それ以上の価値を見い出せない人の手には渡ってほしくありません。」という切り返しも秀逸で、このお客さんが狭い視野でしか物事を見ていないことへの批判と、彼ら職人の主張が合わさった、非常に鋭い言葉です。

…彼の対応は日本のサービス精神とは程遠いものですが、そもそも彼は接客を生業とはしていませんし、一人の職人としての主張と捉えるのであれば、正しいことを言っていますね。

物事をつまらなくしているのは、その人自身

ちょっとキツイようですが、人の創作物やアイデアにわざわざ難癖をつける人というのは、その人自身がつまらない人間だからです。


つまらない人間というのは、面白いことが空から降ってきて奇跡的に自分の手元に収まると本気で信じている人のことです。


すごく大事なことなので、大きい字で書きますが、

面白いことというのは、面白くしたものなんです。

つまらないことというのは、つまらなくしたものなんです。

得てして世の中というのは、自ら動かない人間に厳しいものです。

物事に相対したとき、悪い側面に目が行くのはよく分かりますが、そこから常に思考を前に進められるクセ、いわば思考の瞬発力こそが楽しく生きる上で重要なのです。

伝統工芸職人の彼とお客さんとのやり取りは、どういった物事にも通用するマインドを教えてくれる、非常にいい例でしたね。

まとめ

物事の一側面のみに囚われてはいけない
一側面を見、そこから思考を前進させよう!(思考の瞬発力を鍛える)
奇跡を待つだけのつまらない人間になるな!

 

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